HowTo: 印刷にベストなPDF形式
- omotenashi8
- 2016年1月3日
- 読了時間: 3分
現在では印刷会社、印刷ネット通販などに印刷を依頼する場合PDF形式でデータを持ち込むケースが増えていると思います。一概に「PDF」といっても色々な 種類があるのをご存知でしょうか?ピンはWEBで閲覧できれば目的が達成するPDFから、キリはオフセット印刷で数十万枚印刷するのに使用可能なPDFま で、保存の解像度を考慮に入れれば数万種類のPDFが存在する事となります。
「PDF/X1a(以下X1a)」「PDF/X4(以下X4)」の形式は最終的に印刷する事を目的に設定された規格で、この2つが今の時点での印刷用PDFのスタンダードと言って良いかと思います。
「X1a」の特長
●PDF1.3がベース ●透明効果とレイヤーは使用不能 ●フォントは埋め込み ●「OPI」(出力時に画像を差し替える方法)は使用してはならない
「X4」の特長
●PDF1.6がベース ●透明効果とレイヤーは使用不可 ●フォントは埋め込み ●「OPI」(出力時に画像を差し替える方法)は使用してはならない
以上のように「透明効果」 (ここでは「ドロップシャドー」「グラデーション」も透明効果に含めます)を使用できるかできないかに一番の大きな違いがあります。「X1a」形式で PDFを作成したがよく見ると透明効果の周辺に存在しないはずの白い線が画面上に見えてしまう事が有ります。この線は印刷時には無くなったり、印刷しても 白く出てしまう事があります。出来れば画面上でも完璧にしておけば印刷ミスも無くなります。「X4」形式で作成するとこの現象はすべて解消されます。
「X4」のデメリット
以上の事から今後すべて「X4」形式で作成すれば何の問題も無く、「X1a」など不要ではないかと思えます。が、「X4」は以下のデメリットが有ります。
●「APPE※」でのRIP可能なハイエンドRIPでないと効果が無い ●「X4」形式で保存できるアプリケーションが限られる(イラストレータ、インデザインのCS4以上、または最新のアクロバットが必須) ●ほとんどの透明効果は網羅しているが、一部「X1a」でも問題無いような部分で、文字トビ、文字の特殊効果などでトラブルが起こる(これらは現在Adobe社でも確認・補正できていないようです)
※「APPE」とはAdobe PDF Printer Engine」の略でデータ中の透明効果を最終RIPまで一切変換しないでRIPする最新のテクノロジーです。古いRIPでは対応していないケースが有ります。
尚、「APPE」が可能なRIPでも通常はCPSI(Configurable PostScrip Interpreter)でRIPしておりますので「X4」形式のPDFで印刷を依頼する場合は必ず「X4」形式で作成されたPDFと明記する必要があります。その記載がないと、「X4」のデータをCPSIでRIPし印刷する事となりますので予期しないエラーが発生する場合があります。
結論的に、当面は「X1a」と「X4」形式の特長を把握し、状況に応じ使い分けて行くことが賢明かと思います。弊社ではPOD印刷でAPPEでのRIPが可能です。
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